あらすじ
「――せません!」
「――るんだ!」
怒声と喉の奥で擦り切れたような叫びが、隣の部屋との仕切り――カーテンの向こうから断続的に届いてくる。
何度も繰り返される同じ言葉は、おれの脳を削ぎ、時間の感覚を濁らせていくかのようだった。
いつまで……いつまでかかるんだ……。
この状態で、おれはいったいいつまで待たされる……いつまで……。
「――さん。出てください」
今朝のことだ。名前を呼ばれ、おれは独房の外に出た。直後、目隠しと手錠をかけられ、歩くように指示された。
手首を覆う冷たく無機質な感触とずしりとした重み――実際にはそこまで重くないはずだが――が、じわじわと現実を突きつけてきた。背骨の奥から湧き出した悪寒が全身へと広がり、脇にはじっとりと嫌な汗が滲み、肌が粟立った。
――おれは死刑になる。