あらすじ

「――せません!」 「――るんだ!」 怒声と喉の奥で擦り切れたような叫びが、隣の部屋との仕切り――カーテンの向こうから断続的に届いてくる。 何度も繰り返される同じ言葉は、おれの脳を削ぎ、時間の感覚を濁らせていくかのようだった。 いつまで……いつまでかかるんだ……。 この状態で、おれはいったいいつまで待たされる……いつまで……。 「――さん。出てください」 今朝のことだ。名前を呼ばれ、おれは独房の外に出た。直後、目隠しと手錠をかけられ、歩くように指示された。 手首を覆う冷たく無機質な感触とずしりとした重み――実際にはそこまで重くないはずだが――が、じわじわと現実を突きつけてきた。背骨の奥から湧き出した悪寒が全身へと広がり、脇にはじっとりと嫌な汗が滲み、肌が粟立った。 ――おれは死刑になる。

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小説を読もう2026/05/03
  • 現在の作品おれの死刑 :約4500文字