あらすじ
人の寿命が、左手首の「数字」として可視化された世界。
その命の残高は、社会のルールに従って『善行』を積めば増え、和を乱す『悪行』を働けば容赦なく削り取られる。
結果として、この世界は己の長生きだけを目的とし、打算とコスパで人助けを計る「偽善者」たちで溢れかえっていた。
左手首に刻まれた「50年」という寿命を持て余し、周囲に無関心なまま無為な日々を送る高校生の結城。
彼はある日、いつも窓際で静かに本を読んでいるクラスメイトの水瀬雫の秘密を知ってしまう。
彼女の左手首に刻まれていた寿命は――わずか『数ヶ月』だった。
誰もが損得勘定で動く狂った世界で、彼女だけは他人の痛みを放っておけず、己の命が削られると分かっていても、純粋な心で手を差し伸べ続けていたのだ。
打算で生きることを正義とする絶対的な『世界の理』と、不器用なまでに真っ直ぐな一人の少女。
彼女の透き通るような生き方に触れた時、空っぽだった少年の運命は静かに、そして激しく動き出す。
命の長さを競う残酷な世界で、二人が見つけた「本当の生きる意味」とは――。