あらすじ
祖母の営む小さな薬種店を手伝って育った女子高生・高瀬澄花は、学費免除の特待生として、由緒ある全寮制の名門校・白鷺女学院へ入学する。
磨きあげられた言葉づかい、やわらかい笑顔、上質な香水。けれど澄花にはわかってしまう。人は、隠したい本音ほど甘い匂いで包むのだと。
校内には、誰もが憧れる温室と、そこにまつわる古い決まりがあった。花の世話を許されるのは、選ばれた生徒だけ。
そんなある日、寮の茶会で一人の生徒が突然倒れる。原因は、皿の上で可憐に揺れていた白い花。
香りに敏く、薬草の知識を持つ澄花は、学園の華である生徒会長・如月瑠璃に見出され、ひそかに校内の厄介事をほどく「薬係」として使われることになる。
花は美しいほど、棘を見せない。
少女たちの自尊心、嫉妬、見栄、祈りが絡まりあう学園で、澄花は少しずつ、自分の胸の奥にしまっていた願いにも気づいていく。