あらすじ

生まれつき、嘘がつけない。 それだけが、田中誠一のすべてだった。 就職面接で「弱点は?」と問われ「嘘がつけないことです」と答えた男は、なぜか採用される。会議で「この企画はダメです」、飲み会で「部長の話は三回目です」と言い続けた男は、なぜか昇進する。忖度も社内政治も知らない純度百パーセントの言葉は、腐った組織の中でだけ、最強の武器になった。 チームリーダー、課長、部長、役員、そして社長へ——。 正直者が、頂点に立つ。 だがある日、株主総会で問われた。「今後の見通しは?」 田中は、初めてマイクを置いた。 わからない、ということが——初めてわかった。 笑えて、少しだけ怖い。現代の組織と「誠実さ」の限界を問う一篇。

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エブリスタ
エブリスタ2026/05/02
  • 現在の作品読切短編 正直者の値段