あらすじ
教室の空気を読み、他人の顔色を窺い、誰かの正解に合わせて生きる。そんな息苦しい現代の人間関係に疲れ果てていた女子高生・七瀬 紬(ななせ つむぎ)は、ある日突然、見知らぬ異世界の王立学園に迷い込んでしまう。
元の世界への帰り方もわからず、彼女に与えられた居場所は、学園の片隅にある古びた温室と「薬草園の管理人」という目立たない役目だった。
植物の香りは嘘をつかない。ハーブやアロマの知識を持つ紬にとって、誰の顔色も窺わずに済むその場所は唯一の安息の地……になるはずだった。
しかし、紬にはある「厄介な特技」があった。それは、微かな匂いや視線の動きから、他人の隠された感情や嘘——「心の毒」を正確に読み取ってしまうこと。
ある日の放課後、誰にでも優しい完璧な貴公子として名高い公爵令息・シアンが温室を訪れる。彼から漂う甘い香水の奥に「すり減った神経と、冷ややかな本性」の匂いを嗅ぎ取ってしまった紬は、植物オタクとしての探求心から、つい彼の秘密を暴くような言葉を口にしてしまう。
「君、その冴えない見かけによらず、ずいぶんと面白い鼻を持ってるんだね」
本性を見破られたシアンによって、紬は学園内で巻き起こる生徒たちの「ドロドロとした人間関係のすれ違い」や「悪意なき事件」の解決に無理やり巻き込まれていく。
本当は誰とも関わりたくないのに。面倒な人間関係なんて御免なのに。
不器用で繊細な心たちが織りなす、青春異世界ミステリー&ラブコメディ。