あらすじ

「あんたが、お母さんを殺したんだよ」 ​目覚めると、母は冷たくなっていた。 記憶を失った夏美に、親友の朱里は残酷な事実を突きつける。 自分の指先に残る、錆びた鉄の匂いがする赤いシミ。 私は、本当に母を殺したのか……? ​認知症を患う夏美にとって、世界は常に不確かな霧に包まれている。 けれど、一日に一度、十一時十五分からの「一分間」だけ、霧は晴れ、彼女は真実の自分を取り戻す。 ​しかし、そこで目撃したのは、変わり果てた母の姿を冷徹に「検品」する祖母の横顔だった。 ​「後は大丈夫。私に任せて」 ​救いの手を差し伸べる祖母。本性を現し夏美を操る親友。 十一時十六分、再び霧が立ち込めるまでのカウントダウン。 砂時計の最後の一粒が落ちたとき、夏美の口角は、ある女と同じ形に吊り上がる――。 ​犯人は、誰か。 真実は、なぜ消えるのか。 ラスト一行、記憶の霧に隠された狂気が牙を剥く。

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エブリスタ
エブリスタ2026/05/02
  • 現在の作品11:16分の霧