あらすじ

皇子妃となったリディアーヌは、宮廷で誰からも「妃殿下」という役割だけを押しつけられていた。 皇太后は彼女を疎み、夫である第三皇子は彼女の異母妹と密通し、実家は「耐えれば皇族の縁は残る」と沈黙した。 やがてリディアーヌは、皇太后の命により砂漠の果てにある離宮へ送られる。 表向きは療養。実際は、宮廷からの追放だった。 乾いた風、砂に埋もれた古い城、夜だけ美しい星空。 そこで彼女を迎えたのは、無口で無骨な護衛隊長、サラフ・ザイード。 彼だけが彼女を「妃殿下」と呼ばなかった。 「リディアーヌ様」 その名を呼ばれるたび、彼女は少しずつ思い出していく。 自分が誰かの妻でも、家の駒でも、皇族の飾りでもなく、ひとりの女だったことを。 一方、都ではリディアーヌを追放した者たちの足元が崩れ始める。 彼女が黙って支えていた帳簿、外交文書、慈善事業、皇子宮の評判。 すべてが、彼女を失った瞬間から砂の塔のように崩れていく。 これは、砂漠の離宮で心を取り戻した妃が、無口な護衛隊長に静かに愛され、二度と誰の檻にも戻らない物語。

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カクヨム
カクヨム2026/05/02
  • 現在の作品砂漠の離宮に追いやられた妃は、無口な護衛隊長にだけ名を呼ばれる