あらすじ
「この星からブレードコードの光を抜く者こそ、円卓学園を導く王となる」
——その予言を、GB《ギガバイト》級の追放者は、文明から逃げてきたEB《エクサバイト》級の幼馴染と共に成就する。それは、人々のブレードコードの光を歪めて閃光とし、巨大な機構兵達を討つ、黒き権能だった。
ブレードコード。
見た目は複数のコードで伸縮自在ながら、束ねれば鋭利な刃にもなり、その人の限界容量までの情報を読み込みも書き込みもできる、遠い未来の人々に与えられた、ペンとなり剣となる奇跡の光。
その奇跡の結果、文明はもはやほとんど人を必要としなくなってしまった。
文明に所属するのは、日本では都内の環状七号線の内側の住人、それもブレードコードの容量が桁違いのクラスの人々だけ。それ以外の一般的な容量、TB《テラバイト》級やGB《ギガバイト》級の人々は、文明が開発し運用する巨大兵器、機構兵たちに追放され、怯えながら暮らしていた。そして最後の希望をかけ、機構兵に対抗する、円卓学園に通っていた。
円卓学園に通う高校生、黒堂レイは、環状七号線内に住んでいたが、一般的なブレードコードの容量、GB級でしかなく、追放されてしまった孤児だった。彼は憧れの先生、PB《ペタバイト》級の花咲マリナが率いる特進クラスの対文明特殊作戦遠征を遠目に眺めながら、彼女の言葉を思い出す。
「この星からブレードコードの光を抜くものこそ、円卓学園を導く王となる。でも、星っていったいどこから……」
レイは放課後、学園のひとりだけの寮で、文明に所属するはずの幼馴染、EB《エクサバイト》級の湖上《こがみ》キアラ、キララと呼んでいた彼女と出会う。彼女は、ブレードコードで読み込みさえすれば時空を超越した奇跡、いわば魔法を成し遂げられる、時空星界《アヴァロン》と呼ばれる情報構造体が体に埋め込まれてしまっていて、そのブレードコードの光は生命活動に支障が生じ始め、文明から逃げ出していた。レイは花咲マリナ先生の言葉を思い出す。
「これが、星。これからブレードコードの光を抜ければ……」
しかし、GB級のレイには引き抜けず、EB級のキララですら、どうすることもできないことを知る。そこでレイは花咲マリナ先生だけにしかこれの処遇はわからないと悟る。キララはもともと特進クラスと合流するはずだったが、道中で機構兵の襲撃に遭い、負傷してひとり逃げ伸びていた。
キララの容体が不安定なことから、レイは彼女を連れてマリナ先生がいるはずの座標を目指すこととするが……
巨人の襲撃に遭い、偶然にも、キララが時空星界《アヴァロン》を起動し、レイがそのすべての光を取り込んでしまう。
しかし黒堂レイが使いこなしたその力は、時空を超越し、円卓学園を導くような魔法、とは言いがたく、ブラックホールの化身でしかなかった。他者を重力でひれ伏せさせ、そればかりかキララやマリナ先生……他者からブレードコードを引きずりだして歪め、閃光とする、黒き権能だった。
時空を超え、人々の物語の全てを、光をも逃さぬ闇で歪め、そして書き変える戦いが、始まる。