あらすじ
薔薇病――かつて不治の病と呼ばれたそれにより、
第一王女リゼリアはすべてを失った。
美貌も、未来も、そして人々の記憶さえも。
王城の奥で生き延びた彼女は、
もう選ばれることはないと静かに受け入れていた。
それから二十年。
戦場から帰還した第一騎士団副団長ヴァルドが、
かつての護衛として彼女のもとへ戻る。
変わり果てたはずの彼女を前にしても、
彼は目を逸らさなかった。
外へ出ること。
並んで歩くこと。
言葉を交わさない時間。
それは恋と呼ぶには遅すぎて、
それでも確かに積み重なっていく。
すべてを失ったあとで、
それでもなお、もう一度選び合う二人の物語。