あらすじ
むかしむかしのお話です。
メソポタミアと呼ばれた地域に、イシュタルという名の豊穣の女神さまがいました。
「あー、どこかにイケメンがいないかのぉ……」
イシュタルは、天界から地上の人間世界を見晴るかし、いつもイケメンを探しては猛アタックする日々を送っていました。
「あ、あの、イシュタルさま……。少しはお父さまのご忠告を聞いたほうがよろしいかと――」
さて、そんな女神に忠告をする一体の従者がいました。名はニンシュブル。
彼女も一応女神なのですが、いつも主人のイシュタルのワガママぶりに振り回されていたので内心、
(あぁー。こいつ、マジでぶん殴りてぇ……)
と殺意を燻らせつつ、日々主人に仕えていました。
「あ! おーい、ニンシュブル。そういえば、わらわが手紙を送っといたエビフ山からの返事がきてないか、郵便受けを見てきてくれないかのお?」
その日もイシュタルはだらしない生活を送りつつ、従者のニンシュブルに雑用をさせるのでした。
そう、とんでもない返事がしたためられた手紙を受け取らせに……。
これは、イシュタルがメスガキみたいに生意気な『自称世界最強の山』へと遠征し、そして、その山に自分の強さを「わからせ」て帰ってくるまでの物語である。
注意
本作品は「一応」メソポタミア神話の史料をいくつか漁ったうえで書き上げられたものです。
ですが、作中に登場する一部の神々のキャラに関しては作者による誇張がなされています。
そこのところをご了承いただいたうえで、作品を読んでいただけると幸いです(;^_^A。
以下、作中の登場人物に関する簡単な説明。
イシュタル
主人公。豊穣と性愛を司る女神。実は戦闘能力が高い武闘派な女神でもある。
イケメン大好きだが飽きるのも早く、彼女の犠牲になったイケメンは数知れない。
体はすらりとしているが出ているところは出ている、いわゆるトランジスタグラマー。
瑠璃色の髪がトレードマーク。
ニンシュブル
女神イシュタルの従者(という名の使いぱしり)。
表面上は主人のイシュタルに従っているが、その内心は彼女への殺意に満ちている。
ちなみに、主人のイシュタルと同じでイケメンが大好き。
当作品の「可哀そうな御方」ポジションその一。
エビフ山
ザグロス山脈の中にある山。
なぜかメスガキの属性が付与され、さらに人間化(それも幼女)している。
性格はワガママ。加えて、自分が世界一強いと信じて疑わないぐらいには傲慢。
少し前にイシュタルから手紙を送られていたのだが、その返答にとんでもないことを記したために……。
当作品の「可哀そうな御方」ポジションその二。
アヌ
メソポタミア神話の最高神……なのだが、基本的に何もしないニート神(笑)。
イシュタルの父であり、彼女に対してだけ親バカっぶりを発揮する。
ギルガメシュ
世界最古の文学作品である『ギルガメシュ叙事詩』の主人公にして、神の血を引くウルク国の英雄王。
イシュタルとは犬猿の仲だが、彼に一切の非はない(にもかかわらずイシュタルに逆恨みされている模様)。
エンキドゥ
英雄王ギルガメシュの相棒。脳筋野郎だが悪い奴ではない。
牛の毛皮をマントのように着用している。