あらすじ

六月の湿った空気、校舎を見下ろす放課後の土手。 体育委員の仕事を終えた私は、野球部の練習を終えて寝転ぶ幼馴染の隣に腰を下ろす。 刈り取られたばかりの草の匂い。アスファルトの熱。 いつもと変わらない、退屈で、それでいて宝物のような日常の風景。 けれど、風が運んできたプールの塩素の匂いが、彼の体温の匂いを追い越した瞬間。 私の胸の奥で、重い石が転がったような音がした。 幼馴染の首筋、少し低い声、無防備なあくび。 知っていたはずのすべてが、プールの底に沈んだ青色のなかで、バラバラに崩れていく。 ――これは、真新しい水飛沫が上がる前の、ほんの一瞬。 世界の音が遠のき、私の体温が太陽に近づいた、ある夏の日の記憶。

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カクヨム
カクヨム2026/05/02
  • 現在の作品青に鳴るー通い慣れた校庭の端で、幼馴染との夏がまた始まるー