あらすじ
朝倉玲奈は、アパレル会社でPR担当として働いている。
整えた髪。
濃すぎないメイク。
仕事帰りでもくたびれて見えないネイビーのコート。
きちんと装うことは得意だった。
でも、胸の奥に残った失恋の傷だけは、どんな服でも隠せなかった。
七年付き合った恋人に別の人との結婚を告げられてから、玲奈は“平気なふり”だけが上手くなっていた。
もう誰も好きにならない。
期待しなければ、傷つかなくて済む。
そう思っていた玲奈の前に、新店舗プロジェクトの内装設計担当・拓海が現れる。
彼は踏み込みすぎず、でも見落とさない。
大丈夫じゃない顔をしている玲奈に、静かに気づいてくれる人だった。
冬の雨上がりの夜。
過去の痛みに立ち止まった玲奈は、拓海の前で初めて“ちゃんとしていない自分”を見せる。
ほどけてしまった心は、もう一度、誰かの手の温度を信じられるのか。
傷ついた大人の女性が、もう一度恋を始めるまでの短編恋愛小説です。