あらすじ
山にこもって十五年。
厨二病をこじらせた青年トンヌラが授かった職業は、戦闘能力ゼロの外れ職《名を預かる者》だった。
――だが彼の言葉は、なぜか人の在り方を変えていく。
大仰すぎる名乗りと振る舞いは周囲に“最強のネームレス”だと誤解され、役立たず扱いされた仲間たちもまた、真名を呼ばれた時、世界に一つしかない力へと覚醒していく。
立つことしかできなかった自宅警備員ガルド。
補給で仲間を支える管理栄養士コムギ。
命を調律するペットシッターのフィー。
拍を奪い返す歌い手ミラ。
そして、因果を縫い直す元・世界調停機構《コンダクターズ》のクラウス。
彼らはそれぞれ、守れなかった後悔、救えなかった命、揃えられなかった想い、正しさの側で負った傷を抱えていた。
だがその傷はやがて“五戒”となり、トンヌラに名を呼ばれた時、それぞれの力へと反転していく。
一方、世界の裏側では、人々に役割を配り秩序を保とうとする世界調停機構《コンダクターズ》と、“五つの魔王”が動き始めていた。
異世界から来た勇者サトウや、活力を削がれた少女エリシアもまた、その歪みと深く関わっていく。
これは、誤解された主人公と五つの戒めを抱えた仲間たちが、役割に縛られた世界そのものを自由へ解き放っていく物語。
異世界ファンタジーの皮をかぶった、傷と選択のヒーロー譚