あらすじ
完璧。完全無欠。絶対的最適解。
それはつまり、思考の死を意味する。圧倒的なまでの『退屈』だ。
昼。
俺こと水野 祐哉(みずの ゆうや)は、複雑怪奇なクラウドインフラの迷宮を息をするように最適化し、完璧なシステムを組み上げる天才エンジニア(ただし、本人は至って平凡な人間を自称している)。
入力(インプット)があれば、一寸の狂いもなく出力(アウトプット)が返ってくる冷徹な因果律の世界。
それは美しい。美しいがゆえに、死ぬほど退屈だ。
ゆえに、夜。
脳髄が焼き切れるような熱狂(エラー)を求め、俺は不確定要素という名の泥にまみれた『勝負の世界』へと足を運ぶ。
紫煙くすぶる地下室のポーカー。
週末の競馬場。
あるいは、裏社会で蠢く悪趣味なマネーゲーム。
そこに巣食うのは、確率という名の神様を狂信し、あるいは己の強運を過信した『偽物の強者』たち。
セオリーという名のマニュアルを丸暗記しただけの機械(ポンコツ)どもに、勝負の本質を教えてやろう。
「計算するのは己の勝率じゃない。相手が自ら破滅を選ぶ、その『致命的な数値』だ」
盤面を歪め、確率論を粉砕し、相手の恐怖という名の脆弱性(セキュリティホール)を徹底的に突く。
これは、退屈を持て余した悪魔による、不完全な遊戯の完全なる搾取(エクスプロイト)の記録。
ギャンブルは計算じゃない。血の通った殺し合い(ハッキング)だ。