あらすじ
残業と罵声に疲れ果てた毎日を送るOL・柚木詩織。終電間際の新宿駅で、彼女の足を止めたのは——干し草と蜂蜜の、懐かしい香りだった。
「やっと見つけた」
八年前、祖母の養蜂場で過ごした最後の夏。あの時「ずっと一緒にいる」と約束した幼馴染・日向蓮が、突然目の前に現れた。日焼けした肌に、都会には似合わない麦わら帽子。陽だまりみたいな笑顔は、あの頃のまま。
なんで今更会いに来るの?
八年間、一度も連絡をくれなかったくせに。何通も手紙を書いたのに。諦めて、忘れようとして——忘れられなくて。
「説明させてほしい。全部話すから」
蓮が語る、空白の八年間の真実。祖母から継いだ養蜂場のこと。そして——詩織の作るお菓子と蜂蜜で、一緒に店を開きたいという夢。
「無理にとは言わない。でも——」
疲れ切った心に染み込む、蜂蜜レモンの温かさ。夢を見ることすら忘れていた詩織の前に、あの夏の約束が再び動き出す。
八年越しの再会が紡ぐ、甘くてほろ苦い大人の恋物語。