あらすじ
球界から転落した元通訳・水沢一路は、誰よりも他人の言葉を訳してきた男だった。
スター選手・大和翔の隣で、謝罪を訳し、沈黙を訳し、期待を訳し、時には自分の本音さえ「大丈夫です」に訳して生きてきた。
だがある日、球場地下の古い通訳室で、彼は押してはいけない赤いボタンを押してしまう。
開いたのは銀行口座ではない。
人間関係を担保にする、宇宙最悪の金融商品――信頼口座。
後悔を賭け金にする宇宙ギャング、質問をレーザーに変える巨大会見場、毎回死んで毎回復活する魚人外野手、Metallica「Battery」を死ぬほど嫌うハッカー、そして水沢の賭けたい衝動から生まれた小型悪魔ベットン君。
逃げ場のない球場で、水沢は問われる。
自分は被害者なのか。
加害者なのか。
それとも、その両方なのか。
これは、メタルが鳴り、魚人が死に、会見場が巨大化する銀河野球ブラックコメディ。
そして、他人の言葉を訳し続けた男が、初めて自分の言葉で責任を引き受ける物語。