あらすじ
梶龍一、三十代。
八年間の昏睡状態から目覚めた彼を待っていたのは、突如出現したダンジョンと、魔法スキルがすべてを決める「浦島太郎」な現代社会だった。
魔力ゼロ、スキルゼロ、身体は絶賛リハビリ中。
溜まった入院費を払うために「無能な荷物持ち」として蔑まれながらダンジョンへ潜る梶だったが、彼には現代の探索者が持ち得ない武器があった。
それは、過酷なブラック現場で培った「泥臭い資材運搬のコツ」と、仕事終わりのアパートで血を吐く思いで極めた「超高難易度の死にゲー」の反射神経。
「(なんだこれ。ゲームのラスボスに比べりゃ、予備動作がデカくてずっと見切りやすいな……!)
魔法すら弾く装甲種に対し、梶が手にしたのは、天才機巧師・グレッチェンが作り出した、魔法を一切使わない「鉄杭(パイルバンカー)」だった。
ただのパリィが、周囲からは神業の領域に見える。
必死に生き残ろうともがいているだけなのに、なぜか異常な達人と勘違いされる。
「契約成立だね、カジ!君のその『新品の身体』、隅々までスキャンさせてもらうよ!」
「言い方!言い方考えろよ!変態美人!!」
これは、魔法の時代に置き去りにされたおっさんが、鉄の塊とゲームのテクニックだけでダンジョンを蹂躙していく物語。