あらすじ
眠れない夜、男は台所で空になった薬のシートを見つめていた。
死にたいわけではない。
消えたいわけでもない。
ただ、明日の朝まで自分を運ぶ力が、もうどこにも残っていなかった。
そのとき、空だったはずのシートに一錠が戻る。
「一錠ぶんだけ、明日を遠ざけてあげる」
銀色の膜の裏から現れたのは、ミスター・ブリスターと名乗る悪魔だった。
彼は死を売らない。魂も求めない。
ただ、主人公が引き受けきれなくなった“明日”を、一錠ずつ買い取っていく。
飲むたび、眠れる。
飲むたび、救われる。
そして飲むたび、会うはずだった人との明日が消えていく。
これは、眠りたかっただけの人間と、救いの顔をした悪魔の物語。