あらすじ
「聖女は個人が独占していいものではない」
王太子アルベルトはそう言って、聖女エリシアの補佐官だったレインを王都から追放した。
レインは聖女を独占していたつもりなどない。
ただ、魔法の扱いが絶望的に下手なエリシアの詠唱を整え、暴走しがちな魔力を調律し、彼女が人々を救えるように支えていただけだった。
けれど王家にとって、聖女が一人の補佐官を信頼しすぎている状況は不都合だったらしい。
王都を追われたレインは、痩せた土地と貧しい人々しかいない辺境の村へ向かう。
そこで出会ったのは、若き女性司祭リネット。
彼女もまた、正しい祈りと美しい詠唱を持ちながら、魔力不足に苦しんでいた。
レインは辺境の教会で、再び誰かを支える仕事を始める。
すると、枯れかけた村に少しずつ希望が芽吹き始めた。
そんなある日、失踪したはずの聖女エリシアが、レインの前に現れる。
「レインに会いに来たに決まっているじゃない」
追放された補佐官。
彼を追ってきた聖女。
そして、辺境で祈り続けていた司祭。
三人が出会ったとき、王都が見捨てた辺境に、本当の奇跡が起こり始める。