あらすじ
腹が減っては推理ができぬ。ミステリアスな大食漢、ここに参上。
仕立てのいいコートに身を包み、伏せられた長いまつ毛の影に色気を滲ませる男、祢城 弥(ねじょう あまね)。
一見、都会の静寂を愛するミステリアスな探偵だが、その実態は――常に腹を空かせた、規格外の大食漢だった。
彼は、豆から挽いた愛用のコーヒーを啜りながら、数人前の食事を平らげる。そして、満足げに微笑んだ瞬間、その明晰な頭脳は「謎」という名のデザートを求め始めるのだ。
そんな彼に拾われたのは、鋭い嗅覚とやさぐれた過去を持つ青年、鹿嶋 麦晴(かしま むぎはる)。
「野良犬」から「助手」へと転身した彼は、恩人である祢城を慕い、現場に漂う微かな「匂い」を頼りに真実を追いかける。
怒鳴り散らしながらも彼らを頼る柳浦警部や、帽子を飛ばして右往左往する羽賀田巡査を巻き込み、二人は今日も事件の渦中へ。
「さあ、チップを置こう。この謎が、僕の胃袋を満たしてくれるかどうか」
食欲、嗅覚、そして命懸けの賭博(ギャンブル)。
凸凹コンビが贈る、連作短編ミステリー。