あらすじ
久遠ハルは、周囲に馴染めない少年だった。
友達の輪に入れず、空想や物語ばかりを愛し、年齢を重ねるほど“普通の大人”になっていく周囲との距離を感じていた。
そんなある夜、誰もいない部屋で不思議な声を聞く。
――この世界は偽物だ。
――夢を見る者を笑い、従う者だけを褒める退屈な舞台にすぎない。
――だが君には資格がある。
――物語を創る者は、神になれる。
その言葉に救われたハルは、人生のすべてを創作へ捧げることを決意する。
青春も、安定も、人並みの幸せも捨て、ただひたすら書き続けた。
だが現実は残酷だった。
才能ある若者たちに追い抜かれ、努力は報われず、年齢だけが積み重なっていく。
代になってようやく小さな賞で佳作を得るも、人生は何ひとつ変わらない。
空っぽの部屋。
老いた自分。
積み上げた年月だけが残っていた。
絶望したハルは、神様の声に問いかける。
「お前が言ったんだろう。書けば救われるって」
だが返事はない。
生きる意味も、続きを書く理由も失ったハルは、自ら命を絶つ。
――そして次に目を覚ますと、そこは自分が描き続けてきた物語の世界だった。