あらすじ
「戦車は気合でも根性でもない、論理と計算の集大成だ」
数万戦をこなした戦車ゲームの廃人サラリーマン、佐藤和也。週末の夜、カップ焼きそばを啜りながらプレイ中に心不全で倒れた彼は、目覚めると鉄と硝煙の匂い漂う戦車の中にいた。
そこは、重戦車こそが正義と信じられ、機動戦の概念がない異世界。
無能な敗軍の将として「しんがり(捨て石)」を命じられた佐藤だったが、彼にだけはゲームのUI(ユーザーインターフェース)が【千里眼】として見えていた。
「なるほど、最新VRのチュートリアルか。なら、まずは通行料(ダメージ)を徴収させてもらおうか」
これは、現実を「最高にリアルなクソゲー」だと勘違いした男が、現代サラリーマンの処世術とゲーム知識を武器に、紙装甲の軽戦車で帝国の重戦車大隊を完封していく物語。
「いいか、お前たちは自分で考えるな。俺の出す数値だけに従え。コンマ一秒の狂いもなく動けば、誰一人死なせはしない。……仕事(ゲーム)において、最も避けるべきは不稼働資産(壊された戦車)の増大なんだよ」
本人が「イベントクリア」を喜ぶ裏で、周囲からは「冷酷非道な死神」「不敗の戦術天才」と狂信されていく――。