あらすじ
あらすじ
貧困と閉塞感に満ちた「うさぎ小屋」のような実家に息苦しさを覚える少女、アイ。
画家になるため芸大へ進学したいという希望さえも、経済的に余裕のない母親のヒステリーによって打ち砕かれてしまう。
親を選べない絶望を突きつけられる中、家を飛び出したアイが向かったのは、仄暗い山の麓にひっそりと佇む掘っ建て小屋だった。
そこには、自然の恵みだけで生活を送るミステリアスな少女、シャクティが住んでいた。
彼女に対して強烈な思慕と性衝動を抱くアイは「早く大人になってお金を稼ぎ、私がシャクティを養う」と熱弁する。
しかし、自然の理の中で生きるシャクティにとって、社会で苦しみながら働くオトナの姿は、アイが思い描くような立派なものではなかった。
「私が君に、オトナを教えようと思うんだ」
画家になるという夢を叶えるため、そしてシャクティを手に入れるため、一刻も早く大人になりたいと焦るアイ。
そんな彼女を導こうと、シャクティは全てを飲み込む北の歓楽街、すすきのへとアイを連れ出す。
エロスとアガペー、相反する二人の少女が、欲望渦巻く街で目撃するオトナの姿とは。
誕生の不可避という大いなる業の流れの中で、子どもがオトナへと変貌する姿を描いた短編モラトリアム文学。