あらすじ

元禄七年、大坂。 病床の松尾芭蕉の全身に、四十余年分の句が墨痕のように浮かび上がる。 門人・去来は特殊な紙でその文字を採取する。 その夜から、一人の盲目の老僧が、奥州へ向かって歩き始めた。 ──そして物語は、死から旅立ちへ向かって逆行する。 『おくのほそ道』の旅程を下敷きに、山中温泉の 液化経蔵、顔を売る松島、胎児行燈を造る湿地、寄生虫により植物化した死者たち、そして二百三十七人の皮膚を縫い合わせた「光背の男」。 俳諧紀行の裏で、芭蕉は何を封じ、誰の肉体を復元しようとしていたのか。 句とは封印であり、旅とは人体解体である。 これは、松尾芭蕉をめぐる逆溯怪談にして、読者自身を物語へ引きずり込む、円環構造の伝奇幻想小説。

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カクヨム2026/05/01
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