あらすじ
-作品紹介-
世界は七度滅んだ。
そのすべてを覚えている少年レイン・ヴァルハルトは、八度目の始まりで再び十五歳の朝を迎える。だが、神託に与えられた職能は、王国で外れ職と蔑まれる“召喚士”だった。
人々は神託を祝福だと信じている。
職を与え、役割を示し、人生を導く光だと。
けれどレインだけは知っている。いや、正確には忘れられない。神託とは救済ではなく、世界を管理し、人間を振り分け、滅びさえも繰り返させる仕組みの一部であることを。
レインの力《終焉契約》は、生き物を呼ぶ普通の召喚術ではない。
敗北した世界に残された“最後の選択”を現在へ引きずり出し、戦いへ変える危険な契約術。誰かが守れなかった盾、誰かが捨てなかった一太刀、誰かが届かなかった祈り。そのすべてが、七つの敗北を越えて彼の力になる。
王都では、祈るたびに記憶を削られる聖女候補セレスティアと出会い、裏通りでは教会の秘密を嗅ぎ回る少女ミレイアと手を組む。さらに、崩壊世界の断片夢を見続ける男カイン・レヴァンが現れ、レインへ「また同じ女を救えなかったのか」と問いかける。
教会地下で見つかるのは、顔を削られた英雄の壁画。
黒い獣を従えたその英雄は、なぜか今のレインと酷似していた。
そして石板にはこう刻まれている。
――七巡目の失敗を確認。
世界は偶然繰り返されていたのではない。
誰かが認識し、管理し、失敗のたびに記録を隠し、顔を消し、やり直していたのだ。
最弱職と蔑まれる召喚士が、神に与えられた役割そのものを踏み砕く。
これは、七つの敗北を抱えた少年が、八度目の世界で初めて“違う勝ち方”を掴もうとする反逆と救済の物語である。
-あらすじ-
七度滅んだ世界の記憶を持つ少年、レイン・ヴァルハルト。
彼は八度目の始まりで再び十五歳へ戻るが、刻印の儀で授かったのは外れ職と呼ばれる召喚士だった。高位任官の推薦も、中央騎士団への参加も閉ざされるその職に、人々は失望し、嘲笑を向ける。だがレインだけは知っている。召喚士とは本来、存在の残響や敗北世界の選択と契約する危険な力の系譜であることを。
公開試験で王都期待の若手剣士を理解不能な方法で破ったレインは、王都で最も有名な聖女候補セレスティアに異常が起きていることを察知する。彼女は祈るたびに記憶を削られ、神託の器として少しずつ壊されていた。さらに、裏通りで出会った少女ミレイアの導きにより、教会が古代召喚術の欠片を密かに回収・封印していることを知る。
夜の倉庫潜入の果て、レインは黒い幼獣ノクスと再接続を果たす。ノクスは単なる召喚獣ではなく、七つの敗北世界をまたいで彼の傍にいた終焉の鍵だった。やがて教会地下の保管層で、顔を削られた英雄の壁画と、「七巡目の失敗」「顔貌情報の抹消」と刻まれた石板を発見する。そこには、世界の繰り返しが神話ではなく、誰かに認識・管理されてきた事実が残されていた。
さらに、崩壊世界の断片夢を見る男カイン・レヴァンが現れ、レインに「救えないものは最初から切るべきだ」と告げる。彼はレインと同じ終わりを見ながら、まったく逆の答えへ辿り着いた宿敵だった。
教会地下で神官長と対峙したレインは、大局のために誰かを部品のように削る“正しさ”そのものを拒否する。合理性ではなく、意思で選ぶ。見捨てるのではなく、救うために壊す。セレスティアとミレイアを連れて大聖堂を脱出したレインは、七巡目の続きを終わらせるため、本当の戦いへ足を踏み出す。
-主要な登場人物-
レイン・ヴァルハルト
本作の主人公。
没落騎士家の庶子で、八度目の世界を生きる少年。外れ職と蔑まれる召喚士だが、その本質は“敗北した世界に残された最後の選択”を現在へ引きずり出す危険な契約者。理性的で寡黙だが、弱者や傷ついた者を見捨てきれない。強さの根にあるのは知識ではなく、七つの敗北と喪失の後遺症。合理性よりも“今度こそ救い切る”という意思を選び続ける。
セレスティア・ルミナ
王都で最も有名な聖女候補。
神に愛された娘として崇められてきたが、その実態は神託の器として祈るたびに記憶と心を削られている少女。高潔で真面目、誰かのためなら自分を後回しにする性格。レインとの出会いによって、自分が“祝福された存在”ではなく“使い潰される器”として扱われていた現実へ気づいていく。ただ守られるだけでなく、自分の意思で真実へ踏み込もうとするヒロイン。
ミレイア・クロウ
王都の裏通りで生きる少女。
軽口が多く、現実主義で、人を簡単には信用しない。教会の裏流通から古代召喚術の欠片を盗み出したことをきっかけに、レインと共闘する。身軽で勘が鋭く、危険な場での判断力に優れる一方、信じた相手がいなくなることへの恐れを抱えている。表の世界とは別の王都を知る存在であり、のちに王権と古代血統へ繋がる秘密の鍵を持つ。
ノクス
黒い幼獣の姿をした終焉級存在の欠片。
レインと再接続され、右腕の影として共に在る。皮肉屋で不遜だが、最初からレインを知っている。可愛い見た目に反してその本質は底知れず、七つの敗北世界をまたいで繋がってきた“神殺しの鍵”。レインにとっては相棒であり、失われた過去へ繋がる証でもある。
カイン・レヴァン
崩壊世界の断片夢を見続ける男。
レインと同じ終わりを見ながら、「救えないなら最初から切り捨てるべきだ」という結論へ辿り着いた宿敵。冷静で知的だが、その根には深い喪失と怒りがある。レインの反転体として存在し、主人公の“それでも救う”という思想を最も鋭く否定する人物。
神官長
聖教会ルーメンの中枢にいる人物。
神託、聖女候補、地下保管層、古代召喚術の断片、そして“七巡目の失敗”を記録として知る側の人間。穏やかな祈りの言葉の裏で、必要とあれば誰かを器や部品として扱う冷徹さを持つ。神託の正しさを守るためなら、個の犠牲を当然とする。