あらすじ
神戸、北野。異人館が並ぶ街の片隅で、バー『朱(あか)』を営む店主・酒井瞬。彼の正体は、一千年の時を越えて現代に生きる伝説の鬼「酒呑童子」だった。人間を愛し、牙を隠して平穏を願う瞬。しかし、藤原の残党が仕掛けた最悪の「罠」が、彼の最愛の女性・藍川澪を奪い去る。最愛を失い、絶望の果てに理性を失った瞬は、破壊の化身へと変貌(オーバーロード)していく。最強の鬼を止める方法は、ただ一つ。「……ハル、殺してくれ。俺がまだ、人で居られるうちに」史上最高に怠惰な陰陽師・安倍晴明が、震える指先で下した「強制終了(シャットダウン)」という名の救済とは――。
【登場人物紹介】
安倍 晴明(あべの はるあき)「やりたかないねー」が口癖の三代目。極度の怠惰ゆえに術を十二天将へ丸投げするが、その結果、規格外の出力を叩き出す「殺意の怠惰」の持ち主。
酒井 瞬(さかい しゅん)伝説の鬼、酒呑童子。バー『朱』の店主。澪を深く愛し、人間として生きることを切望していたが、惨劇の果てに「鬼」へと還る。
安倍 泰臣(あべの やすおみ)晴明の親父。アロハシャツを着こなす「ろくでなし」だが、日本最大の極道組織・菱王組とも対等に渡り合う凄腕の探偵。
藍川 澪(あいかわ みお)瞬の恋人。紫陽花を愛する心優しい女性。彼女の死が、神戸を飲み込む「オーバーロード」の引き金となる。
賀茂 保憲(かも やすのり)生徒会長にして「観測者」。常にオムライスを食べているが、銀縁眼鏡の奥では常に冷静に物事を見据える冷徹な知略家。何事もこなせるオールラウンダータイプ。
道満(みちま)&博雅(ひろまさ)晴明の幼馴染。共に戦い、共に泣き、共にシュン兄の最期を看取った、晴明にとって代えのきかない唯一無二の親友たち。