あらすじ
夢日記が、つなぐ。
霹歴二〇三〇年、第四月。
異セカイに放り出された普通の大学生・染谷真司。
特別な装備なし。能力なし。手には見覚えのない古いノート。
「ハズレ能力」と笑われた、ペンを生み出すだけのギフト。
頼りになるのは、訳ありの旅人カルセウムが振るう一振りの剣。
異世界の冒険は、ゲームのように始まらなかった。
「俺が書いてないものが、俺のノートに書かれている。
これは、何だ。
――俺は、何を、知っていた?」
聖王国の若き王が、白い駒を静かに動かす。
帝国の腐王は、孤児院の影に何を抱えてきたのか。
銀髪の聖騎士が、視線の先に何を透かして見ているのか。
紅桔梗の幹部が、机の上で、ひとりで抱え込んだ重荷とは。
そして街の隅で、誰かが囁き始める「十災」という古い予言。
ある夜、世界の裏で軋む音は、致命的な一行となって、日記に書き足される。
『シンジ、しぬ』
複数の視点が交差し、伏線が幾重にも折り重なる、重厚ハイファンタジー群像劇。
政治、神話、戦争、そして人間の、息のある感情。
夢の底で、誰かが誰かのために書き続ける物語。
ここで終わると思った?
――まだ、はじまりだ。