あらすじ
幽黒城の主、吸血鬼ジュールのもとへ、ひとりの娘が送りつけられた。
盟約の「花嫁」という名の贄。
城に青薔薇が咲けば、豊作と安寧がもたらされる。だがジュールは咲かせることが出来なくなっていた。
どうせまた引き返す――。
だが娘は一向に逃げ出す気配がない。それどころか厨房に住み着き、薔薇の世話まで始めた。
火を恐れ、顔を隠し、感情を見せない娘からジュールは目が離せなくなる。
ジュールは、その娘に「ビアンカ」と名付けた。
関わるはずのなかった二人の距離は、少しずつ変わっていく。
だが、ビアンカには消せない過去があった。
二人だけの静かな時間は、領主の娘セレーナによって壊されていく。
これは、孤独な吸血鬼と、傷を抱えた娘が出会い――それでも隣にいることを選ぶ物語。