あらすじ
2040年6月、世界は沈黙した。
突如として放たれた核ミサイルの連鎖が、人類の文明を数日で瓦解させた。北海道東部の山間に住む15歳の少年・佐伯湊は、熱線と爆風からは逃れたものの、漆黒の空から降り注ぐ「黒い雨」と、その後に訪れる「核の冬」という絶望に直面する。
北見へ向かった両親は帰らず、通信も途絶。そんな中、湊は暴漢に襲われていた同級生の北条栞を救い出す。一人では生き抜けない。そう確信した湊は、近隣の住民たちに声をかけ、自分の家を「砦」として開放する決断を下した。
「ここを拠点にします。俺たちは、誰一人死なせはしない」
わずか15歳の少年が背負うにはあまりに重い「命の責任」。湊は、大切な人々を守るため、時に冷徹な「砦の主」として規律を敷き、外敵や飢え、そして忍び寄る放射能の恐怖と戦い続ける。
これは、凍てつく闇に包まれた世界で、必死に「人間」として生きようとする者たちの、切実なる生存の記録である。