あらすじ
ある朝、俺は自分の名前を忘れていた。
スマホの連絡先からも、履歴からも、自分だけが消えている。
それなのに世界は普通に動き続けていた。
そして気づく。
――この世界では、人は「自分で自分を削除できる」。
理由も、記憶も、痕跡も曖昧なまま。
ただ一つ確かなのは、俺は昨日、自分を消した“らしい”ということだけ。
さらにスマホには見覚えのない通知が残っていた。
『新しい“あなた”がログインしました』
俺はまだ、俺なのか。
それとももう、誰かに置き換えられているのか。
名前が消える世界で、失われていくのは記憶か、それとも存在か。