あらすじ
十九歳の夏。
バイエルン公女ヘレーネは、未来のオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフの花嫁候補として避暑地バート・イシュルを訪れる。
けれど皇帝が選んだのは、姉に付き添ってきた自由奔放な妹エリザベートだった。
後世、人々はきっとこう語るだろう。
未来の皇帝に選ばれなかった姉は不幸で、皇后となった妹こそ幸福だったのだと。
だが本当にそうだったのか。
皇后となった妹は、美貌を称えられながらも宮廷と姑に苦しみ、愛されながら孤独にすり減っていく。
一方、選ばれなかった姉ヘレーネは、穏やかな夫と静かな家庭を得て、喪失を抱えながらも人として泣き、人として愛する人生を生きていく。
これは皇后になれなかった姉が、選ばれなかった先で見つけた静かで確かな幸福の記録である。
※歴史を元にしたフィクションのお話しです。
一日に二話以上投稿、完結まで毎日投稿です。