あらすじ

数えて5年の引きこもりこと私、阿武隈護(あぶくままもり)を待っていたのは、悪逆無道の弟からの置き手紙と現金三千円。金の無心などしたこのなかった私への当てつけのような小遣い、すなわちそれは 「私に外食しろってこと!?横暴がすぎる!」 しかし昨晩とある出来事で夕食にありつけず、空腹に耐えかねた私は、屈辱に震えながらも5年ぶりの外出を決意する。 勢いでたどり着いてしまったのは京都駅前ショッピングモール。あまりの人の多さに圧倒され意気消沈としている中、迷子の子供と、その父親、憂いを帯びた謎の美女に遭遇する。どうやら子供は“兄”を探しているようだ。泣じゃくる子供へ彼の父親が息子に浴びせた「人様に迷惑をかけるな!」という怒号に、私の過去のトラウマが蘇る。気づけば私は、彼らに声をかけていた。 窮地に陥った私を「私の連れです」と助けてくれたのは、あの美女だった。なぜか私を知っている様子の彼女は、私を『阿武隈ちゃん』と呼ぶ。それは、変わり果てた姿の旧友との突然の再会だった。 氷漬けにされていた時間が、再び動き出す。これは進むことを恐れ立ち止まってしまった阿武隈護の一歩と、その足跡の物語。彼女を待ち受けるのは、踏み越えられない過去の足跡――。

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カクヨム
カクヨム2026/04/30
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