あらすじ

目を覚ました私は、夜の学校にいた。  窓の外は完全な闇で、授業は夜に行われるという。そこに集められた生徒たちは、誰もがどこか現実感に欠け、過去の話や自分の名前について語ろうとしなかった。  ただ一人、違和感なく存在しているのは担任の教師だった。  古びたスーツを着たその男は、学校の仕組みや校則について多くを語らず、私にだけ「まだ、間に合う」という意味深な言葉を向ける。  やがて私は気づく。  痛みを感じ、体温があり、眠ることができるのは――この学校では私だけだということに。  夜の学校に集められた生徒たちは、すでに死んでいる存在だった。  それでも教師は、真実を説明しようとしない。  生徒たちは一人、また一人と「卒業」を迎え、静かに姿を消していく。  教師はそれを止めず、ただ見届ける。  夜明け前、校則が揺らぎ、学校そのものが不安定になり始める中、教師は私に告げる。  「ここにいちゃいけない。戻りなさい」  次に目を覚ましたとき、私は現実の世界にいた。  それでも手元には、夜の学校で使っていたはずのノートが残されている。  最後のページに記されていたのは、見覚えのない文字。  ――『卒業おめでとう』  生きているとはどういうことか。  大人は、子どもをどこまで導けるのか。  夜の学校を舞台に、生と死の境界を静かに描く幻想譚。

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カクヨム
カクヨム2026/04/30
  • 現在の作品夜の学校で、私だけが生きている。