あらすじ
父が死んだ日。幽霊でも写らないかと馬鹿みたいに自撮りを繰り返していた私は、ふいに涙が止まらなくなった。
とうの昔に「悲しい」や「寂しい」という感情は、完全に麻痺させていたはずなのに。
私の初期ステータスは、生まれた時からバグだらけだった。
発達障害と指定難病。そして、三歳で親元から隔離された田舎町で待っていた絶対的な孤独。
大人の暴力でプールの底へ沈んだ心。BB弾で顔面を撃ち抜かれても「怪獣」を演じ続けた午後。自分だけがランドセルを持てないまま、壊れていく家族の姿をただ冷めた目で見つめていたあの頃。
生き延びるために心を殺してきた私が、今更流したこの涙の正体は何なのか。
喪失の果てに零れ落ちた涙の理由を知るために、私は己のルーツへと遡っていく。
バグだらけの脳と身体でどう生き延びてきたのかを解き明かす、生々しくも静謐な生存の軌跡。