あらすじ
第5回山羊座文学賞に参加しています。
https://kakuyomu.jp/user_events/2912051598180648472
◆本作の構成について◆ 文字数:約16,000文字(読了目安:約50分)
――そして、彼女たちが放課後の密室で決着をつけるまでの『作中経過時間』も、同じく約50分間です。
一切の場面転換なし。読者の文字を追う時間と、密室で進行する修羅場が完全に【リアルタイム】でシンクロする、息継ぎなしのワンシチュエーション・青春愛憎劇(全6章)。
あらすじ
「失われた腕は、かつてそこにあった残酷な証拠として、鬼の傷跡をいつまでも熱く締め上げるという――」
かつて名刀に右腕を斬り落とされ、取り返しのつかない喪失の痛みにのたうち回った『茨木童子』。
誰もいない旧視聴覚室のブルーシートの上で、女子高生のキリはひっそりとその古典悲劇の文庫本を閉じ、都合よく感傷に浸っていた。
私と大親友のユキ、そして同級生のタケル。
三人だけの完璧なモラトリアムは、私と彼が『恋人』になったという事実によってあっけなく斬り落とされてしまった。親友を裏切り、私が3人の時間をぶち壊したのだと。
しかし、ユキは何事もなかったような笑顔で私のもとに現れる。 「明日は初デートなんやろ! 二人きりで楽しんでや!」
その満面の笑顔と、彼女が密室へ持ち込んだ『不格好な手作りのプレゼント』が、息が詰まるような異臭となって狭い教室をじっとりと汚染していく。
迫りくる教員の巡回の足音。ブルーシートの暗闇。スマホに届くタケルからの無神経なメッセージ。
淀んだ空気の密室で、あくまで『今まで通りの優しい親友ごっこ』をやり過ごそうと息を潜める私に対し、笑顔だったユキの表情から徐々に体温が抜け落ちていく……。
密閉された空間で、ドロドロとした女子高生たちの純情と執着が、お互いの青春を噛み千切る。 息もできない50分間が、今始まる。