あらすじ
投票率が五割を切る時代。誰も政治に期待しなくなった日本で、内閣総理大臣・神代誠は新制度「実効民主制」を導入する。投票率に応じて議席配分を変えるその仕組みは、「行動した者だけが国を動かす」という思想のもと、社会に衝撃を与えた。
制度は人々を動かし、地方の台頭、都市の反発、そして“票の価値”の売買まで生み出していく。やがて国は分断され、対立は暴力へと発展していく。
一方、地方のカフェで働く遥は、これまで政治と無縁に生きてきた。しかし混乱の中で、自分が「選ばれる側」であることに気づき、初めて投票へと向かう。
これは、民主主義の本質を問い直す物語。
一票とは何か。選ぶとはどういうことか。
その答えを、国と個人の視点から描く社会派エンターテインメント。
■神代 誠(かみしろ まこと)
内閣総理大臣。元官僚。
過疎化で消えた故郷の経験から、「行動しない声は無視される」という現実を痛感し、新制度を断行する。冷静で合理的だが、その思想は社会に大きな分断を生む。
■黒崎 玲子(くろさき れいこ)
東京都知事。元弁護士。
神代の制度に強く反対する。「来られない人間」の存在を重視し、一票の平等を守ろうとする現実主義者。正しさと現実の狭間で葛藤する。
■遥(はるか)
地方都市・奥羽市のカフェ《灯》で働く女性。
政治に無関心だったが、制度によって「選ばれる側」にいることを自覚し、変化していく。物語の読者視点となる存在。
■橘(たちばな)
内閣官房副長官。神代の側近。
長年神代を支えてきたが、制度がもたらす現実に疑問を抱き始める。物語後半で重要な転機を促す役割を担う。
■東京から来た女性
都市部の圧力や同調社会に疲れ、地方へ逃れてきた人物。
「行かない自由」と「行かされる圧力」の間で揺れる現代人の象徴。