あらすじ
六五九年、倭の地に、ひとりの男児が産声をあげた。
中臣鎌足の次男。名は、史(ふひと)――読みは、「ふひと」。
十一歳で父を失い、近江朝の傍流として目立たぬ位置にあった少年は、
やがて、ひとつの国家を、ほぼ独力で設計することになる。
大宝律令。日本書紀。藤原氏の血脈。
「日本」という国号。「天皇」という称号。平城京。
そして――八咫烏という、誰の目にも映らぬ導きの神話。
東アジアでは、長安の武則天が「思想による現実の改変」を進めていた。
新羅の金春秋・金庾信は、唐を利用しつつ独立を守ろうとしていた。
渤海では、大祚栄が新たな国を立ち上げつつあった。
その四つの極の中で、倭は何者になり得るか。
不比等は、紙と文字によって、それに答えを出した。
歴史小説『八咫烏』シリーズ第一作。