あらすじ
社会人の六条雪は、ある朝――見知らぬ部屋で目を覚ました。
隣には、同じ会社の同僚・城井陽菜。
距離は近すぎて、言い訳が効かないレベル。
なのに陽菜は、何事もなかったみたいに「おはよ」と笑っている。
問題はひとつ。
雪には、昨夜の記憶がほとんどない。
ただ、断片だけが残っていた。
自分の声。
少し掠れた呼び方。
そして、普段は絶対に呼ばないはずの名前。
――「陽菜」
「覚えてないんだ」
全部を知っている側の余裕で、陽菜はそう言う。
何があったのかは教えてくれない。
ただ、意味深なことだけを残していく。
「昨日は普通だったのに」
「もう一回呼んでみる?」
会社では苗字で呼び合う、ただの同僚。
なのに二人きりになると、
名前で呼ぶ距離まで、もう戻ってしまっている。
覚えていないはずなのに、
なかったことにはできない。
――これは、
“思い出せない夜”から始まる、少しだけずるいラブコメ。