あらすじ

王宮規則第12条――王太子妃教育に関する全工程は、双子の記録侍女により逐次記録されるものとする。 この条文を、婚約者である王太子レオナルドは、5年間ただの一度も読まなかったらしい。 「お前のような陰気な女など、王太子妃にふさわしくない」 夜会で殿下が私――伯爵令嬢クラリス――に向けた暴言は、0.3秒後に議事録第417巻・最終項として登録された。 双子のミーナとリーナが、完璧な笑顔で羽根ペンを走らせる。 「ただいまの『陰気』、第417巻・最終項に追加。これで本年度の侮辱発言は203件目でございます」 「ご丁寧に、男爵令嬢様への称賛も記録済みでございます。比較資料として優秀な対照実験となるかと」 ねえ殿下、王宮監査会議の議長は誰だとお思いですか? あなたが「私情で動く陰気な男」と陰で蔑んでいた、王弟ヴィルフリード様ですわ。 あの方が、5年間の議事録417冊を、明日の監査会議に提出なさるそうですわよ。

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小説を読もう2026/04/30
  • 現在の作品陰気な婚約者を罵倒した王太子の発言が、王宮議事録第417巻・最終項に登録されるまでの所要時間0.3秒