あらすじ
「君以外考えられない」──7年間、侯爵令嬢リーゼロッテはそう囁かれ続けてきた。社交界では理想の婚約と称えられ、彼女は「最も愛されている令嬢」だった。
だが婚約者ファルケの溺愛は、他の令嬢たちを「紛い物」と侮辱する裏返しだった。彼の『君だけ』は愛ではなく、私以外への侮蔑の表明だったのだ。
ある夜会、紛い物と呼ばれてきた令嬢7名を守る辺境伯ザイフリートが、リーゼロッテに片膝をついた。
『7年間、紛い物の対義語として飾られてきたあなたを、ただの1人の女として娶りに参りました。妹と、彼女たちを侮辱した男の隣ではなく、妹と、彼女たちと並ぶ場所へ──どうか、下りてきてはくれませんか』
わたくしは決める。優先される側を辞退し、紛い物の側に下りる、と。
──王宮大夜会の夜、7名連名の証言書が、ファルケを社交界から永遠に消し去る。