あらすじ
「必ず迎えに行く。待っていて」——その言葉だけを胸に、私は十年間待ち続けた。
港町の図書館で働く雪乃、28歳。政変により国交断絶した北大陸へ、届かないと分かっている手紙を書き続けている。宛先は幼馴染の凪沙蒼真。『渡れば死刑』の凍海海峡に隔てられた、二度と会えないはずの人。
周囲からは「諦めろ」と言われ続けた。見合い話は全て断り、届かない返事を待ち続ける自分がおかしいことも分かっている。それでも、書かずにはいられなかった。この手紙だけが、二人を繋いでいる気がしたから。
そんなある日、港が騒然となる。誰も渡れなかった禁断の海峡を越えて、一隻の密航船がやってきた。
タラップを降りてきた船長らしき青年。その姿を見た瞬間、雪乃の時間が止まる。
——届かないはずの想いは、届くのか。
十年の時を越え、死の海峡を越え、ただ一人の幼馴染に会うために国境を越えてきた男と、信じて待ち続けた女の純愛物語。