あらすじ
叔父の営む珈琲店に住み込みで働く男子学生・灯織(ひおり)は、ある日、叔父が連れてきた少女・瑚子(ここ)と同居することになる。
瑚子は心因性失声症という疾患を患っており、声を出すことができない。しかも『声を出そうとすると涙が出る』という不思議な症状にも悩んでおり、まるで人魚姫のようだと灯織は思っていた。
どちらかと言うと鋭利な言葉で人を傷つけてしまいがちな灯織は、繊細な瑚子と関わるべきではないと考えて身を引こうとする。しかし、瑚子の内面や事情を知っていくにつれ、彼女が流す涙に閉じ込められた聞こえない言葉が知りたいと思い始める。
その一方で、灯織もまた、自分自身の家庭に問題とトラウマを抱えており……。
これは、ガラス片のように鋭利な心の角を丸め、宝石になろうともがいた二人が、愛を手放して泡になるまでの物語。