あらすじ
ふわふわのドレスに、きらきら光るティアラ、「おひめさま」はいつも笑顔がまぶしい。
私も、そんなおとぎ話のおひめさまになれたら。
そんな淡い憧れを、胸の中でそっと温めていた。
けれど、それはやっぱりおとぎ話。
現実の私は、病院のベッドの上で点滴に繋がれ、薬がなければ生きられず外に出ることすらままならない。
小さな白い世界が、私のすべてだった。
それでも、毎日幸せだった。
パパとママは毎晩絵本を読んでくれて、
お兄ちゃんはこっそりお菓子を持ってきてくれた。
でも終わりは、突然やってくる。
最期は家族の涙に見送られ温かい手とは裏腹に、身体はどんどん冷たくなっていく。
神様がいるなら、どうか、次はあの絵本のようなお姫様に。
そんな願いを胸に、私は一筋の涙を流して、この世界にさようならを告げた。
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「姫様、お誕生日おめでとうございます!」
拍手がホールいっぱいに響き渡り我に返ると、そこは煌びやかな世界。
金の装飾が施された大広間に、シャンデリアの灯りが降り注ぐ。
豪華な食事、色とりどりの花、音楽隊の旋律、夢のような空間に私はいた。
「おいで、リリィ」
名前を呼んで腕を広げたのは、一番目のお兄様。
迷うことなく飛び込むと、ふわりと抱き上げられた。
「甘えん坊、もう五歳だろ」
下から揶揄う二番目のお兄様。
その頭をぺちっと叩くお姉様を見て、お父様とお母様が優しく笑った。
つられて私も笑うと、みんなが笑った。
その瞬間、光景が一瞬、重なる。
どこかで見たことのある景色。
絡まっていた記憶がほどけ、前の世界の記憶が流れ込んでくる。
私は、この光景を知っている。
「どうしたんだい、リリィ」
曇る家族の顔に、私は笑ってみせた。
『うれしくて!』
そのひとことで、また笑顔が広がる。
私はもう、この世界の結末を知っている。
『やさしくてつよいこんなすてきなおひめさまに、わたしもなれるかな』
前の私の言葉が、ふと脳裏によぎる。
『……なれるよ、なってみせる』
だって私は、大好きだった絵本『星のおひめさま』の憧れのお姫様に生まれ変わったのだから。
それでもいざ憧れが現実になると、理想とのギャップに何度も打ちのめされそうになる。
それでも私は
『__“あの子”みたいになりたい』
これは、星の輝きのもとに生まれた、小さな王女の新しい物語。