あらすじ
【あらすじ】
1964年から続く、記憶の継承を目的とした人造人間(あるいはクローン)の系譜。その44番目の個体「まどか」は、過去43人の姉たちが積み上げてきた膨大な記憶、道徳、そして2011年の震災という深い絶望の歴史を一切保持することができない「欠陥品」だった。
研究者たちが彼女を「空っぽ」だと蔑む中で、まどかだけは気づいていた。「すべてを忘れる」という性質こそが、過去の悲劇や因習という重力から逃れ、常に純粋な「今」を生きることができる唯一の超機能であることに。
パンデミックを経て静まり返った2021年の世界。まどかは、ある「あなた」の手の温もりだけを唯一の道標として残し、他のすべての記憶を光の中へと消去する。
そして数十年後。
かつて共に過ごし、世界の重荷をその身に背負って歩み続けてきた「あなた」が、老いた靴音を響かせて彼女のもとへ帰還する。すべてを忘却し、常に新しく生まれ変わり続けるまどかは、扉を開けた「あなた」の声を合図に、再びゼロからの物語を書き換え始める。