あらすじ
26歳の真希は、愛する家族に囲まれ、理想的な「母親・妻」としての毎日を送っていました。しかし、心と体のどこかで、自分の名前さえ忘れてしまいそうな日常に、微かな虚しさを抱えてもいました。
そんな彼女の生活を変えたのは、朝の通勤電車での小さな触れ合いでした。言葉も交わさないまま、指先から伝わる未知の体温。その相手は、偶然にも同じ保育園に子供を通わせる父親、直人だったのです。
保育園のパパとママ。社会的な立場という境界線を越え、二人は「男と女」として惹かれ合っていきます。お迎えまでのわずかな隙間時間を縫って重ねる、秘密の逢瀬。それは、日々の役割から解放される、束の間の楽園でした。
けれど、秘め事のスリルはやがて、平穏だったはずの家庭に静かな波紋を広げていきます。守りたい日常と、抑えきれない本能。危ういバランスで成り立つ二人の関係に、終わりの足音が近づいてきます。
激しく求め合った先に、二人が見出すのは再生か、それとも孤独か。一人の女性が、自分自身の本音と向き合う姿を繊細に描き出します。