あらすじ
テンは、異世界の田舎村で生まれた少女だった。
特別な力があるわけでもない。
ただ、時々「この世界ではないどこか」の記憶のようなものがよぎるだけ。
そんな彼女が初めて自分の異常に気づいたのは、腹痛に倒れたときだった。
何が原因かも分からないまま、ただ“なんとなく知っている気がする”という感覚だけで薬草を組み合わせる。
結果、それはわずかに症状を和らげた。
偶然か、それとも才能か。
村の薬師ヤグはその組み合わせを見て、静かに言った。
――「それ、誰に教わった」
その日を境に、テンの生活は変わり始める。
薬草の組み合わせ、体の違和感、治療の失敗と成功。
誰も知らないはずの“感覚”が、少しずつ形になっていく。
やがてそれは、小さな村の医療を変え、やがて世界の常識に触れていく。
これは、ひとりの少女が「なんとなく」で始めた医療が、歴史を動かしてしまうまでの物語。