あらすじ

白瀬ヨミは、世界を一人で観測している。 その事実に気づいたのは、クラスメイトが一人消えた朝だった。 正確には、消えたのではない。“観測されなかったことになった”。名前も、顔も、記録も、すべてが世界から排除される。だが、俺だけが覚えている。 つまりこの世界には、二つの観測が存在している。ヨミの観測と、俺の観測。そして、どちらか一方しか、現実を確定できない。 「お兄ちゃんだけ、ちゃんと見えるの」 ヨミは言う。 その瞬間、世界は収束する。俺以外の観測が、無効になる。クラスメイトが消え、街から人が減り、現実が単一の視点へと縮んでいく。 ヨミは、世界を“二人称”から“一人称”へと書き換えている。このままでは、現実はヨミ一人のものになる。 だから俺は、観測をやめない。 他人を覚え続ける。 名前を呼び続ける。 存在を維持し続ける。 それが唯一、世界を保つ方法だからだ。 だがヨミは、さらに近づいてくる。触れ、見つめ、認識を奪う。 「ねえ、お兄ちゃん」 ヨミは微笑む。 「どっちの世界にする?」

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小説を読もう2026/04/29
  • 現在の作品『妹が俺を好きになると、周りが消える。――観測が一つになるとき、世界は他人をやめる』