あらすじ
「僕は自分がつまらない男でなかった証を、どうしても残したいんだ」
十九世紀。
ノルウェー王国の雪深い王都クリスチャニア。
若き数学者ニルス・アーベルは、貧困と病に苦しみながらも、ただ一つの論文の執筆にすべてを賭けていた。
彼を支えるのは、婚約者クリス。
しかしニルスは、彼女を想うほど距離を置いてしまう。
お互い愛しているのに、うまく伝えられない……その不器用さが、二人の間に静かな影を落としていく。
親友ベルントは、ニルスの才能を誰よりも知っていた。
だが、彼の胸にはニルスの運命にかかわる「ある秘密」が重くのしかかっていた。
雪が降り続く街で交差する、天才数学者、婚約者、そして親友の想い。
そして、後に「アーベル賞」と名づけられる栄誉の源となる、一つの論文と一通の手紙。
なぜ彼は、最後にその手紙を書いたのか。
その手紙は、誰に宛てられたものだったのか。
雪のように静かで、手紙のように優しい、若き天才数学者の物語。
なお、この作品は「カクヨム」にも投稿しております。