あらすじ
前世で古い機械の修理に明け暮れていたカイトは、異世界で**【万象レストア(錆取り)】**という地味なスキルを授かり転生する。
彼は勇者パーティーの「御用聞き」として、毎晩寝る間も惜しんで仲間の装備をメンテナンスしていた。しかし、最新の魔法を過信する勇者アルフレッドから**「地味で無能な錆取り屋など不要だ」**と罵られ、魔王城を目前にパーティーを追放されてしまう。
「いいんだな? 俺が手入れをやめたら、その聖剣、一週間も持たないぞ」
忠告を笑い飛ばされたカイトは、辺境の街で細々と「古道具屋」を開業。道端のガラクタを伝説の武具へと蘇らせ、道具を愛する人々だけに囲まれる穏やかな生活を手に入れる。
一方で、カイトという「最高の技術者」を失った勇者パーティーは悲惨だった。
聖女の祝福では補えない**「金属疲労」と「魔力回路の劣化」**によって、彼らの装備は日に日にボロボロになり、ついには戦場で見苦しく崩壊していく。
絶望の中、這いつくばってカイトの店に転がり込んできた勇者が見たのは、かつて自分たちが捨てた「ガラクタ」を手に、魔王軍を圧倒する辺境の人々の姿だった。
「直してくれ? 断るよ。俺はもう、お前らの鉄クズ(ゴミ)には興味がないんだ」
これは、道具を愛し、価値を見抜く男が、恩を忘れた勇者たちを「磨き直すことすらしない」まま、最高のスローライフを掴み取る物語。