あらすじ

三年間、夫と目を合わせたことがない。 政略結婚で公爵家に嫁いだロザリンドの日常は、一人きりの食卓だった。 夫は「氷の公爵」と呼ばれ、妻の名前を一度も呼ばない。 会話は月に数回の事務連絡のみ。 白紙婚の三年を耐え、ロザリンドは自ら離縁届を差し出した。 署名する夫の手が震えていた。 ペンを三度落とす姿を、彼女は怒りだと受け取った。 実家にも戻れず、港町で翻訳業を始める。 母の遺品の辞書ひとつを頼りに、自分の名前で生きていく日々。 小さな工房に届く依頼が、少しずつ増えていく。 ある日届いた元夫からの依頼は、恋文の翻訳だった。 古い聖典の言語で綴られた、誰かへの恋文。 宛先の人物は「本を読む時に小首を傾げる」らしい。 それは、ロザリンド自身の癖だった。 なぜあの男は、古い言語でしか想いを書けないのか。 なぜ元妻に、自分の恋文を翻訳させるのか。 恋文の届け先が誰なのか、翻訳者だけがまだ気づいていない。

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小説を読もう2026/04/29
  • 現在の作品もう夫婦ごっこは終わりにしましょう?